ロベール・クートラス
ロベール・クートラス(1930-1985)
クートラスはフランス・パリモンパルナス生まれの画家です。
第二次世界大戦がはじまるとクートラス一家は独協力強制労働の徴用を受けてドイツで生活を送ります。
戦後無事にフランスに帰郷したクートラスは、工場での労働を経て苦学の末、念願叶いリヨンの美術学校に入学しました。
卒業後にパリへと居住を移してからは、画廊との契約も結び作家としての収入源を順当に得るものの、自らの芸術を探求するために、自ら契約を解除するという一途を辿りました。
1972年には二つ目の契約画廊とも決別し、ついに一人で生きていくという冒険を選んだクートラスの生活は、その後貧窮に覆われていきます。
クートラスのアトリエはパリのヴォージラール226番地の一室にありました。
そのアトリエを兼ねた住居の小部屋で、画廊とも離れ自由の身になったクートラスは思うままに自身の制作に没頭し、膨大な数の作品を制作します。
路上にゴミとして積み上げられた段ボールや木切れは焼成のための燃料にし、貧しさから画材を十分に調達出来ない状況におかれてもクートラスの表現はその中でますます醸成し、最期まで自らの芸術を希求し続けました。
1985年、クートラスはこのヴォージラールのアトリエで55年の生涯を閉じました。
ロベール・クートラスは、亡くなるまでのおよそ17年間、カルト(carte)というカード画の制作に没頭しました。
縦12cm×横6cm程に切り抜いたボール紙に、油絵具で、人の顔をした蝶やうさぎ、足の間から顔を覗かせてこちらを見ている人、暗号のような文字など、彼の心の中にある物語を毎夜描き、それらを「Mes Nuits(僕の夜)」と呼んでいました。
◎夜のギニョール劇団 1600円+税
ポストカードブック16作品収録。
クートラスの作り上げた手札サイズの作品「カルト」を、実物大に切り抜いて楽しめるポストカードブック。
「カルトは僕の夜の結晶」とクートラスの言葉。
◎クートラスの思い出 岸真理子 1600円+税
伝記にして芸術論、そして恋の物語
岸真理子さんは1977年に日本の画廊のパリ支店で働くため渡仏。クートラスと出会い、晩年をともに過ごします。クートラス自身が遺言で指定した“包括受遺者”です。クートラス本人が売ることも散逸させることも許さず“Reserve de parton(親方の獲り分)”と呼んだ“リザーブ・カルト”を含め彼の作品を保管しています。現在もパリ郊外に在住。これまで詳しく知られることのなかったクートラスの生涯を最晩年彼と同居し、遺言にしたがい作品を管理する女性がはじめて綴りました。
( `-` )長謝
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